
行政書士法が改正され、
「行政書士にしかできない仕事」が整理されました!
2025年6月に成立した改正行政書士法が、2026年1月1日から施行されています。かたく聞こえるかもしれませんが、内容はシンプルで、「誰が」「どんな名目で」お金をもらって書類作成を行ってよいのか、というルールがこれまでよりはっきりした、というお話です。今回は、その中身をかみくだいてご紹介します。
1そもそも「独占業務」って何?
行政書士法では、官公署に提出する書類の作成や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を、行政書士の仕事として定めています。そして、行政書士や行政書士法人でない方が、報酬をもらってこれらの仕事をすることは禁止されています。これが「独占業務」と呼ばれるものです。
とはいえ実際の現場では、「コンサルティング料」「会費」「顧問料」といった名目にすることで、資格を持たない方が実質的に申請書類の作成代行をしてしまうケースが少なくありませんでした。今回の改正は、そうしたグレーな部分にきちんと線を引き直すものです。
2今回の改正、ポイントは5つ
① 「報酬」の考え方がはっきりしました
「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わりました。つまり、たとえ「コンサル料」や「会費」という名前がついていても、実質的に書類作成の対価であれば、それは報酬とみなされます、ということが法律の文章として明記された形です。
② 独占業務の範囲と、取り締まりが強くなりました
たとえば補助金申請の書類作成代行は、以前から行政書士の独占業務とされてきました。資格を持たない方ができるのは、あくまで「相談に乗る」「アドバイスをする」といった助言までで、申請書そのものの作成・提出はできません。この線引きが、改めてはっきりと確認された形です。
③ 罰則が重くなり、法人も対象になりました
無資格での独占業務違反に対する罰則が強化され(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)、違反した個人だけでなく、その方が所属する会社や法人にも罰則が及ぶ「両罰規定」が新しく設けられました。依頼する事業者の側にも影響しうる部分ですので、心にとめておいていただけたらと思います。
④ 特定行政書士ができることが広がりました
特定行政書士による不服申立ての代理業務も、少し範囲が広がりました。これまでは「自分が作成した書類」に関する不服申立てしか代理できませんでしたが、改正後は「行政書士なら作成できる書類」であれば、ほかの方が作成したものについても代理ができるようになります。
⑤ 「使命」「職責」という言葉が加わりました
法律の目的規定が「目的」から「使命」という表現に変わり、行政書士は品位を保ち、法令と実務に精通し、公正で誠実に業務を行うべきだという職責が新しく条文に盛り込まれました。あわせて、デジタル技術を活用して利便性を高める努力義務も加わっています。
3改正前・改正後をくらべると
| 論点 | 改正前 | 改正後(2026年1月〜) |
|---|---|---|
| 報酬の考え方 | 名目上「無償」であれば、規制の対象になりにくい面があった | 名目にかかわらず、実質的な対価はすべて「報酬」 |
| 違反したときの責任 | 主に違反した個人が対象 | 所属する法人にも責任が及ぶ(両罰規定) |
| 特定行政書士の代理範囲 | 自分が作成した書類に限られていた | 行政書士が作成できる書類全般に広がった |
| 法律上の位置づけ | 「目的」規定のみ | 「使命」「職責」が明文化 |
4自動車の登録・車庫証明も、あらためて対象に
今回の改正で特に反響が大きかったのが、自動車の登録手続きや車庫証明の分野です。これまで自動車販売店や整備工場では、サービスの一環として、あるいは車両価格や諸費用に含める形で、登録手続きや車庫証明の代行を行ってきた例が多くありました。
ですが、こうした登録手続きや車庫証明の申請書類作成も、もともと行政書士の独占業務にあたります。今回の改正で「報酬」の考え方が名目を問わないものとして明確になったことで、「登録代行手数料」という名前であっても、車両価格に含まれる形であっても、資格のない方が報酬を得て行えば、行政書士法に触れる可能性が高いということが、より具体的に示されました。
今後は、行政書士へ正式に依頼する、国のワンストップサービス(OSS)を活用する、お客様ご自身に申請していただく、といった形に見直していくことが現実的な対応になります。今のやり方に不安がある場合は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。
5依頼する側にとっての意味
今回の改正は、行政書士側だけの話ではありません。許認可申請や補助金申請、登録手続きなどを外部に依頼している事業者の方にとっても、「誰に」「どこまで」頼んでよいのかを見直すよいきっかけになると思います。資格のない業者に依頼してしまうと、依頼した側にもリスクが及ぶ可能性がある、という点は少し意識していただけたらと思います。
逆に言えば、正式な資格を持つ行政書士に依頼することの安心感が、今まで以上にしっかりと制度で裏付けられた、ということでもあります。