戸籍ってなんだ?-住民票との違い
戸籍と住民票。どちらも役所で取る書類です。
でも、この二つが何を証明するものなのか、説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。
実は、まったく役割の違う書類です。
先に結論から
戸籍は「家族のつながり」を証明する書類、住民票は「今どこに住んでいるか」を証明する書類です。
住民票では、家族関係を証明することはできません。
私が役場の窓口にいたとき、この点を取り違えておられる方に、何度もお会いしました。
CONTENTS
戸籍は「家族のつながり」を記録したもの
夫婦と、その子どもが一つの単位
戸籍は、一人ひとりに一つずつ作られるものではありません。
夫婦と、その夫婦の結婚していない子ども。これが一つの単位です。
ですから、お子さんが結婚されると、そのお子さんは親の戸籍から出て、新しい夫婦の戸籍が作られます。
「子どもが結婚したら戸籍から抜けた」と聞いて驚かれる方がおられますが、これは手続きが正しく進んだ証拠です。
生まれてから亡くなるまでが記録される
戸籍には、生まれたこと、結婚したこと、離婚したこと、養子縁組をしたこと、そして亡くなったことが記録されます。
誰の子として生まれたか。誰と結婚したか。子どもは何人いるか。
つまり戸籍は、その方の身分関係(家族としてのつながり)をたどるための書類です。
相続の手続きで「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を」と言われるのは、このためです。子どもが何人いるかは、戸籍をたどらなければ分かりません。
なお、戸籍に書かれる内容は、近年少し増えました。令和5年の法改正により、令和7年5月26日から、戸籍や戸籍の附票、住民票に氏名の振り仮名が新たに記載されることになりました。届出をされなかった方については、本籍地の市区町村長が通知した振り仮名が、令和8年5月26日以降、順次戸籍に記載されていきます。お手元に通知のはがきが届いていた方は、内容をご確認ください。
住民票は「今どこに住んでいるか」を記録したもの
住民票の目的は、戸籍とはまったく違います。
住民基本台帳法は、市町村において住民の居住関係を公に証明し、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の基礎とすることを目的としています。
一言でいえば、「この人は今ここに住んでいます」と役所が証明するための書類です。
「世帯」は「家族」とは限らない
住民基本台帳は、個人を単位とする住民票を、世帯ごとにまとめたものです。
ここで大切なのは、「世帯」と「家族」は別のことばだ、という点です。
世帯とは、住まいと生計をともにしている人のまとまりのことです。血のつながりがあるかどうかは関係ありません。
住民票の続柄だけでは親子を証明できない理由
住民票には、氏名、生年月日、住所のほか、世帯主の氏名と世帯主との続柄、戸籍の表示などが記載されます。
たしかに「子」「妻」といった続柄は載ります。
ただしそれは、あくまで同じ世帯の中での、世帯主から見た関係です。
ですから、次のような場合には、住民票では親子であることを示せません。
・お子さんが独立して、別の住所に住んでいる場合
・お父様が亡くなられた場合(亡くなった方は住民票から消されます)
・ご両親が離婚され、別々に暮らしておられる場合
住民票は「今」を写したものです。過去のつながりは、そこには残りません。
二度手間にしないために、窓口へ持って行くもの
「必要書類のご案内」を必ず持参する
これは、窓口にいた頃に何度も思ったことです。
銀行や年金事務所、保険会社から、たいていは「必要書類のご案内」という紙が渡されています。あの紙を持って来ていただけていれば、その場ですぐに済んだのに、と感じたことが何度もありました。
案内の紙には、「戸籍全部事項証明書」「除籍謄本」「改製原戸籍」など、必要なものの名前がきちんと書かれています。
記憶だけを頼りにお出でになると、窓口では何が必要なのか判断できません。結果として、もう一度足を運んでいただくことになってしまいます。
封筒ごと、そのままお持ちください。
何の手続きに使うかを窓口で伝える
「相続の手続きに使います」「年金の手続きです」。
この一言があるだけで、窓口の職員は必要なものを一緒に考えることができます。
逆に「戸籍を1通ください」とだけ言われると、本当に必要なものが出せているかどうか、職員にも分かりません。
【注意ポイントその1】
戸籍も住民票も、誰でも取れるわけではありません。
戸籍を取れるのは、原則として次の方です。
・その戸籍に載っているご本人
・その配偶者(夫または妻)
・父母、祖父母など直系血族
・子、孫など直系卑属
ここに、兄弟姉妹は入っていません。
ただし、取れないと決まっているわけではありません。たとえば、お子さんのいないご兄弟が亡くなられて、あなたが相続人になられた場合。このときは「相続の手続きに必要です」と理由を説明すれば、請求できます。その場合は、理由が分かる資料をお持ちください。
住民票は、同じ世帯にいる方が取得できます。もしご本人か、同じ世帯の方以外が取りに行かれるときは、委任状か、必要な理由がいります。
窓口には、運転免許証やマイナンバーカードなど、ご本人と分かるものを必ずお持ちください。ご家族の代わりに行かれるときは、委任状も必要です。
どこで取れるのか
住民票は、お住まいの市区町村で取ります。(広域交付やコンビニ交付もあります)
戸籍は、本籍地の市区町村が持っています。住所と本籍は別ですから、ご結婚や引っ越しを経ていると、思いがけず遠い土地が本籍になっていることもあります。
ただ、ここは近年大きく変わりました。
令和6年3月1日から改正戸籍法が施行され、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになりました(広域交付)。本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で請求でき、ほしい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の窓口でまとめて請求できます。
相続の手続きで各地の戸籍を集めなければならない方にとっては、大きな助けになる制度です。
【注意ポイントその2】
広域交付は便利な制度ですが、使える方は、通常の窓口よりもさらに狭くなります。
使えるのは、ご本人、配偶者、父母・祖父母、子・孫などの直系血族だけです。兄弟姉妹(傍系血族)の分は取れません。代理の方も使えません。
また、顔写真の付いた身分証(マイナンバーカード、運転免許証など)がないと使えません。健康保険証だけではできませんので、ご注意ください。
市区町村によっては、本庁舎の戸籍の窓口でしか扱っていないこともあります。お出かけの前に、一度お電話で確かめられると安心です。
戸籍と住民票の違いは、知ってしまえば難しい話ではありません。
けれども、必要になる場面は、たいてい気持ちに余裕のないときです。ご家族を亡くされた直後であることも少なくありません。
どの書類を、どこで、どれだけ取ればよいのか。迷われたときは、お一人で抱え込まずにご相談ください。窓口で29年間お受けしてきた経験から、順序立てて整理いたします。