
「戸籍の附票(ふひょう)」という書類、聞いたことはありますか?戸籍謄本や住民票に比べると耳にする機会が少なく、「そんな書類、初めて聞いた」という方も多いのではないでしょうか。
実はこの附票、相続登記や本人確認の場面で意外と大活躍する書類なんです。今回は行政書士が「戸籍の附票」についてわかりやすく解説します。
📌 結論を先に言うと
戸籍の附票とは、その戸籍に入っている人の「住所の移り変わり」を記録した書類です。戸籍とセットで、本籍地の役場が保管しています。
戸籍の附票とは?
戸籍の附票は、戸籍が作られた時点から今までの「住所の履歴」を一覧にした書類です。名前に「戸籍」と入っていますが、実は根拠となる法律は戸籍法ではなく、住民票と同じ住民基本台帳法です。戸籍と住所(住民票)の情報を結びつける役割を持っています。
戸籍には身分関係(生まれ・結婚・離婚など)は載っていますが、住所の情報は載っていません。逆に住民票には現在の住所は載っていますが、過去の住所の履歴までは追えません。この2つの「橋渡し」をしてくれるのが、戸籍の附票なのです。
- 根拠となる法律:住民基本台帳法
- 記載内容:本籍・筆頭者・氏名、戸籍に入っている間の住所の移り変わり
- 取得できる場所:本籍地の市区町村役場(住所地では取れません)
住民票との違いは?
「住所の履歴なら住民票でいいのでは?」と思われるかもしれませんが、住民票は引っ越すたびに新しく作り直され、以前の住所(除票)は各自治体で個別に管理されています。一方、戸籍の附票は同じ戸籍に入っている限り、ひとつの書類に住所の移り変わりがまとめて記録され続けます。
そのため「10年前、20年前の住所を証明したい」というときには、住民票よりも戸籍の附票のほうが一度に広い範囲を確認できるケースが多くあります。
| 戸籍の附票 | 住民票 | |
|---|---|---|
| 記載内容 | その戸籍に入っている間の住所の移り変わり | 現在(または直近)の住所 |
| 取得場所 | 本籍地の役場 | 住所地の役場 |
| 対象人数 | 同じ戸籍に入っている人全員分をまとめて確認できる | 基本的に個人・世帯単位 |
⚠️ 注意ポイント
転籍(本籍を他の市区町村に移すこと)や、戸籍に入っている全員が除籍になると、それまでの附票は「除附票(じょふひょう)」として閉じられます。除附票の保存期間は、2019年(令和元年)6月20日の住民基本台帳法改正により、5年間から150年間に延長されました。ただし、改正前の基準(平成26年6月19日以前に消除・改製されたもの)に該当する場合は取得できないことがあります。
どんな場面で必要になるの?
普段の生活ではあまり出番のない附票ですが、次のような場面で必要になることがあります。
- 不動産の相続登記(登記簿上の住所と現在の氏名・住所のつながりを証明するため)
- パスポートの申請(本籍地を証明する書類として)
- 各種契約や本人確認で、過去の住所とのつながりを証明したいとき
とくに相続登記では、亡くなった方が登記簿上の住所から転居を重ねている場合、「登記簿上の同じ人物である」ことを証明するために附票(または除附票)が欠かせません。ところが除附票は保存期間の関係で「もう取得できない」というケースも少なくなく、その場合は別の書類での証明を検討する必要があります。転籍を繰り返してきた方は、附票をたどる作業自体が複雑になりがちです。詳しくは「転籍を繰り返している方は要注意!」の記事もあわせてご覧ください。
こんなときは行政書士にご相談ください
「附票がもう取れないと言われてしまった」「相続登記のために必要な書類が何なのかわからない」「本籍地が遠方で何度も役場に行けない」——このようなお悩みは、行政書士がお手伝いできる分野です。
私自身、町役場の戸籍住民記録の窓口で長年勤務してきた経験があります。戸籍や附票のしくみ、取り寄せの実務を熟知しておりますので、複雑な書類収集も安心してお任せいただけます。
※本記事は掲載時点の法令等にもとづいて作成しています。個別のご事情によって取扱いが異なる場合がありますので、詳しくは専門家までお問い合わせください。